フィアー・ストリート Part 1: 1994【千文字レビュー】

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Netflixがまた『フィアー・ストリート』という変わった企画を打ってきた。
同じ土地・違う時代に起こった3つの怪事件を、3週に渡って配信するという、ドラマシリーズと映画作品の中間に位置するような企画だ。

 

その1作目となるのが、この『1994』。この後『1978』『1666』と時代が遡る形で作品は進んでいき、この呪われた土地の真相が明らかになっていくという作りだ。Part 1と銘打たれてはいるが、それぞれ独立した作品になっているようなので好きなところから見ても大丈夫だと思う。

 

1994年と時代設定がされている通り、90sヒットチャートがガンガンにかかり、90sな風俗をチラ見せし、少し小馬鹿にしたようなテンションでティーンたちが恐怖体験に巻き込まれていく。これぞ90sホラー的な態度といった感じ。かなり節操がない演出が施されているが、これが「90sっぽさ」と意図してされたものならいいんだが…

 

 

映像は『ストレンジャー・シングス』シーズン3のような、ネオン電飾された80~90sリバイバル・タッチが展開されていく。そもそも、このシリーズ自体が『ストレンジャー・シングス』と、それに触発されたリメイク版『IT』の影響が色濃い。その地に土着した呪術的存在と何世代にも渡って対峙するという設定はモロに『IT』っぽい。

ただ少なくとも1994においては、その地史を紐解く要素がほとんどないのは残念だ。町には貧民街で殺人事件の多いシェイディサイドと、クリーンで富裕層が暮らすサニーサイドがあり、そこに生きる若者たち対立を繰り返している。序盤こそ、その設定でワクワクさせてくれるのだが、だいぶ早い段階でその話はどこかにいってしまう。この先の2作品でその辺は扱ってくれるのかな。

 

その代わり、土着の魔女の呪術によって町では数年おきに殺人鬼が出現してきた歴史があり、彼らが主人公たちの元に集結してくるという楽しい設定がついている。今回は90年代っぽい『スクリーム』風殺人鬼、60年代女シリアルキラー、80年代風の斧を担いだマスク男などが登場。殺人鬼に関してはまだまだ出し惜しみしているので今後に期待できそう。

 

単品としては全体に節操がなく、これといって特筆すべきもののないホラー映画だ。だがまだまだ色々なものを出し惜しみしているのは間違いないので、Part 2以降で発揮されるはずと信じて次も一応見る。