フィアー・ストリート Part 2: 1978【千文字レビュー】

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Netfixが送る、三週連続配信されたホラー三部作『フィアー・ストリート』

2作目に当たる『1978』は前作から16年遡り、「ナイトウィング」というキャンプ場で起きた大量殺人事件が描かれる。前作は90年代らしい節操のないホラー映画だったが、今回は舞台が70年代後半ということでオーソドックスなスラッシャー・ホラーだ。

 

サマーキャンプ真っ最中でたくさんの子供が集まったキャンプ場。だが、その地を代々苦しめてきたサラ・フィアーという魔女の呪いが好青年だったバイトの兄ちゃんを殺人鬼に変えてしまう。サニーサイド、シェイディサイドの地を蝕むサラ・フィアーの呪いと対峙しつつ、前作『1994』で歴代レジェンド殺人鬼として登場した「絹袋被り斧男」のオリジン・ストーリーでもある。「斧男」だけでなく、前作で印象的だったシリアルキラー女子高生の近親者が登場したり、保安官の家系が代々その地で権勢を誇ってきた歴史がわかったり、ドラマシリーズに近い人物相関図の広がりも見え始めた。そこは間違いなくこのシリーズ独自の強みだろう。

 

 

過去へ遡っていく形の続編として、視聴者がこの事件の顛末を知っているというポイントがある。事実として知っている出来事をどう肉付けしていくか、どう意外性を持たせるか、演出の腕の見せ所だろう。残念ながら、この作り手にその腕はなかったようだ。『1994』の時点で視聴者は「1978年の事件ではC.バーマンという女性だけが生き残った」と知っており、その当人の回想で作品は進む。一応バーマンは姉妹で二人おり、語り部が姉か妹かはわからないということにはなっているし、最後には捻ったつもりのオチもつく。だが、ほとんどの人はどちらが生き残るか早々に気づいてしまうことだろう。与えられるヒントがあまりに露骨すぎるのだ。

舞台もキャンプ場だけ殺人鬼もほぼ斧男のみで映像もストーリーも斬新さがない。前作も退屈だったが、輪をかけて退屈だ。

 

このシリーズで最大の面白味はサニーサイドとシェイディサイド、二つの町の確執とサラ・フィアーにまつわる地史だと思うのだが、そこは毎度軽くタッチする程度で終わってしまう。子供たちが町ごとに分かれて勝負するカラー・ウォーという催しも跳ねそうな予感はするのだが、ルールすら説明されずただの背景で終わってしまう。『IT』みたいなことをしたいんなら、それをこそマネて欲しいんだけどな。